実は私、人間ではないのです。という話を以前させていただきましたが、そのことについて少々お話したいと思います。
本当は黄泉(死者の国)への案内人なのです。もちろん凛さまや楼子さま、綴子さまを代表とする「イノグレ被害者の会」の皆様は全員私がご案内いたしました。皆様お若い方ばかりで残念でしたが道中、色々お話をお聞かせ頂いて楽しかったです。しっぽりってなんでしょう?
それから、上月由良というお方が閻魔さまに楯突いたときにはどうなることかと思いましたが。
今頃はきちんと成仏してくれていると思います。
そんな私ですが、実は非常に怖がりでして、数ヶ月ほど前にうっかり道に迷ってしまった挙句、 この世とあの世の境から現世に落ちてしまい、戻れなくなってしまったのです。
当然、戻る方法は分かりません。仕方ないのでとりあえず私は戻ることを諦めました。楽天的で前向きな性格ですから現世で生きることにしたのです。 そうなると、まずは実体化しないといけません。
そこで素晴らしいタイミングで亡くなった少女を発見したので体をお借りすることにしたのです。 生憎、葬儀の時だったためそれはそれは皆様大パニックに陥っておりました。
まぁ、亡くなってから2日後に生き返るなんてまずありませんから。
亡くなった少女の名前は何の因果か、灰邑読子という同名でした。漢字が違うだけで。 私はもともと苗字はなく、ただの詠子だったのでこれを機に灰邑の姓を名乗らせていただくことになりました。 しかもこの家、かなりの資産家らしく財産も相当あるようなのですが、両親は事故でなくなっており、読子さんと妹さんと執事さんの3人で暮らしていたようなのです。
なので、残された妹さんと執事さんは驚きながらも読子さん(私)の生還を喜んでおられました。 そのような理由から私はただの案内人からお嬢様へと昇格してしまったのです。
これからは灰邑詠子として生きながらあの世に戻る方法を模索していこうと思います。
解決の鍵は眼帯の中に。
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